ゼネコンや建設会社の会社説明会に行くと、その会社の人事に「施工管理は5大管理(品質・原価・工程・安全・環境管理)を主に行うよ」とよく言われますが、

 実際に「1年目は具体的にどんな業務をしているのか」は意外と教えてもらえなかったり、教えてもらっても抽象的だったりすることが多いと思います。

 そこで今回は、私がゼネコンに新卒入社して1年目で行った業務を紹介していきます。

施工管理1年目の業務

①安全管理

 「安全管理」とは、工事を安全に事故なく行うために実施する作業のことをいいます。

 具体的には、以下のことを行います。

  • 安全朝礼・昼礼・夕礼の運営
  • 新規入場者教育
  • KY・作業指示書・作業手順書などの作成指示
  • 現場での職人への安全指示と危険箇所の是正
  • 安全教育・安全衛生協議会の運営(またはその補助) 
  • 日々の点検書類・事前提出書類 など

 安全朝礼では、その日に現場で仕事する職人・現場監督が朝礼場所で準備体操を行い、現場監督がその日の仕事内容の確認と安全指示を行います。1年目は安全当番として司会を行います。例えば、「今日は掘削作業のため、8:30から10tダンプ5台が入退場し、13:00頃に再入退場してきます。すべて西側出入り口から出入りしますので、安全通路を必ず通り、その付近で作業する場合は作業員または見張り員をつけて下さい。」というような安全指示を作業員全員の前で行います。マイクを持って行う現場もありますが基本的にはないので、大きい声で行うように心がけましょう。

 安全昼礼・夕礼ではみんなが集まることはなく、職長や現場監督だけで翌日以降の作業予定について打ち合わせを行うことが多いです。同様に1年目は司会を任されることが多いです。

 新規入場者教育では、自分の現場に初めて入ってくる作業員に対して、現場の特徴や危険な箇所を周知します。これを実施する理由は、新規入場者は現場を知らないために開口部から落下したり、建設重機に轢かれるなどの労働災害が多いためです。1年目はここでも司会を任されることが多いです。

 KY・作業指示書・作業手順書などは、”安全書類”と呼ばれその日の仕事内容を理解し、どこに危険があるのか、そのためにどんな対策を行うのかを事前に確認し、作業員全員に伝達を行うために実施します。安衛法30条に義務として記載されています。これらの書類は、職長が記入するものであり、現場監督は基本的に記入はせず確認指導を行うという立場になります。

 仮に、労働災害(事故)が発生した場合、労働基準監督署の職員が安全書類を確認しに来ます。そこで不備や抜け漏れがあり、安全管理不十分と判断された場合、作業所長が安全衛生法違反として書類送検(身柄拘束せず、書類だけ検察に送ること)され、最悪の場合、罰金や拘禁刑になり、月・年単位で指名停止措置(入札に参加できないため、工事が取れない)が取られます。つまり、会社としては「現場が止まる+罰金を払う+仕事が取れなくなる」という三重苦につながり経営が悪化するため、安全書類は非常に重要な書類であり舐めてはいけません。そのため、1年目や若手が安全書類を作成することが多いですが、現場監督全員で回覧するところがほとんどだと思います。

 安全教育・安全衛生協議会は、労働安全衛生法(安衛法)によって義務付けられている、事業者(ゼネコン・元請け側)が労働者(作業員・下請け)に対して行う教育と協議のことです。

 安全教育は、安衛法の第59・60条で定められており、基本的に協力会社ごとに月1回半日(4時間)行います。次の事項について安全または衛生のための教育を行わなければならないです。

  • 作業方法の決定及び労働者の配置に関すること。
  • 労働者に対する指導又は監督の方法に関すること。
  • 前二号に掲げるもののほか、労働災害を防止するため必要な事項で、厚生労働省令で定めるもの

 安全衛生協議会は、安衛法30条で定められており、安全と健康を守るために行う会議(話し合い)のことです。主に工程や安全衛生について元請(ゼネコン)職員が主導で話します。

 安全教育・安全衛生協議会どちらも重要なため、1年目で任されることは少ないと思われます。やるとすれば、議事録の記入や書類の準備です。

 この他にも、施工体制台帳の作成、建設業退職金共済書類の管理、機械等設置届、建設工事計画届(88条書類)の作成などがありますが、この部分は作成が難しかったり、時間がかかったりするため、1年目に任せることはしません。基本的に中堅以上の職員か、事務員の方が行うことが多いです。

②写真管理

 「写真管理」とは、工事中の写真を撮影し、それを見やすくまとめる作業のことをいいます。

 写真撮影は、仕様書に記載されている通りに行う必要があり、それを通じて工種や出来形・品質・工程・環境管理の概要を学ぶことができます。仕様書には、工種ごとに撮影項目が記載された写真管理基準や写真管理一覧表のようなページがあります。

 例えば、道路のアスファルト舗装工事をする際は、以下のような項目が書かれています。

  • 着手前、完了
  • 路盤、基層、表層の敷き均し・転圧状況、乳剤の散布状況など(工程)
  • 路盤、基層、表層厚さ、幅、延長、基準高など(出来形)
  • 現場密度管理、乳剤散布量試験、アスファルト合材・区画線塗料の溶融温度(品質)
  • 土砂やコンクリートガラ、アスファルトガラの積み込み・運搬状況(環境)

 これらの項目を把握して写真管理を行っていると、嫌でも施工管理の基礎が学べるため、勉強のために1年目にやらせることが多いようです。

 より詳しく工種ごとの写真管理項目が気になる方は「国土交通省 写真管理基準」で検索してみると、実際に仕様書で使われている一覧表を見ることができます。

 写真管理は写真を撮るだけではありますが、超重要です。

 なぜかというと、写真は5大管理(品質・原価・工程・安全・環境)の証明になるものだからです。

 工事完了後、発注者に引き渡す際に竣工検査というものを行います。竣工検査とは、受注者(ゼネコン・建設会社)が仕様書・設計図どおりに施工し、完成したものの品質や性能が基準を満たした状態であるかどうかを発注者が確認することであり、合格することで工事代金を受け取ることができますが、不合格の場合作り直しになり、多額の損害を負うことがあります。

 そして、竣工検査の際、発注者は工事の管理ができていたかどうかの確認作業として、「実際に工事で作った成果物」、「仕様書に記載されている提出しなければならない書類」と、「”写真”」を確認します。

 書類の場合は、伝票や計算書などをもとに工事完了後に作成できる場合がありますが、写真の場合はそれが不可能なため、各工種ごとに撮り忘れないように写真管理項目を都度確認したり、撮影漏れがないか確認する必要があります。

 ちなみに私は撮り忘れが多く怒られることが多かったです(汗)

 撮り忘れを防ぐために、当日の撮影項目リストを作ったり、暇ができるたびに仕様書を確認することをお勧めします。

 写真を撮った後は、写真を工種、種別、細別に分けて整理します。基本的には写真管理ソフトに写真データを取り込んで整理して写真帳を作成し、それを発注者に提出というような形になります。ここでも工種ごとに分ける作業を自分でやることで、工事についての理解が深まりますので、外注せずに1年目にやらせる場合があるみたいです。

 現在は写真データをパソコン上に移して電子の写真帳として提出するのが一般的ですが、昔は数十枚しか撮影できない&その場で確認できないフィルムカメラやデジカメで撮った写真を数十分かけて現像して、紙のファイルに1ページに写真3枚つづりになるように手差しで行っていたみたいです。

 今と比べると昔がいかに非効率だったのかということがわかります。残業100時間が当たり前だったのも頷けます。

③測量補助

 工事を行ううえで、どんな工種でも測量を行う必要があり、施工管理として必須の業務です。

 大手ゼネコンの場合は、予算が多く(数十億~数百億円)、工事規模が大きいため、測量は測量専門業者やJVサブゼネコンに任せて確認作業として、行うことが多いです。

 逆に中堅・中小ゼネコンは予算が少なく(数千万~数億円)、工事規模が小さいため、測量は自社の施工管理が行うことが多いです。

 1年目では、先輩と一緒にトータルステーションやレベルを用いて測量業務、墨出し(構造物などの位置を可視化するために墨ツボやチョークラインを用いて線や印をつけること。)業務を行います。はじめは先輩から指導されながら動くことになりますが、2,3年目からは自分がメインで測量を任されることが多いため、測量補助をする中で、「自分ならどうするか」、「わからないことはすぐに聞く」ことを意識するといいと思います。1年目でも6年目でも、職人からしたら全員同じ施工管理職員のため、「この位置であってる?」、「この墨で建てちゃっていい?」と聞かれることがよくあります。その時に何も考えずに先輩に聞くのではなく、自分で「これは型枠の墨だ」、「これはこっちの構造物の墨だ」と確信を持ってから聞くようにしましょう。そうすれば確実に成長しますし、何よりも自分のやっていることが工事につながっている実感が湧き、楽しくなります。

1年目の可能性

 1年目の業務は、以上のようなことを行いますが、会社や現場によってかなり変わってくるため、必ずしもこれらのことを行うかはわかりません。しかし、一人前の現場監督になるために、自分が行わない業務にも興味を持って理解するよう努めましょう。

 現場監督は基本的に大人数で業務を回すことが多いため、仕事ができる人には仕事が集まり、仕事をやりたくない人には仕事が集まりません。しかし、仕事から逃げ続けた人は悲惨な末路を迎えることになります。施工管理20年目のような人でも、難しいことつらいことを避け続け、安全と測量しかできないため、所長を任せてもらえてない人もいます。特に大手ゼネコンだと元請けの職員数が数十人規模になるため、全然仕事をやらない人が出てくるそうです。

 建設現場にいる1年目は、アメリカにいる英語が全く話せない人とほぼ同じです。3年ぐらい留学に行っても英語が全然上達しない人と、1年程度で英語がペラペラになる人の違いは、実戦経験(英語での会話の量・質)の違いです。そのため、建設現場に配属された場合は、1人で見ているだけではなく、先輩や職人さんと会話(なんでこういう作業が必要なんですか?こういう場合はどうしてるんですか?などの技術的質問など)をしたり、積極的に業務に参加し、自分の能力を向上させましょう。そうすれば、4,5年で一人前にかなり近づけると思います。