世の中では、施工管理は
「きつい・汚い・危険」のいわゆる3Kの仕事として語られることが多く、
就活や転職において最初から選択肢から外す人も少なくありません。

正直に言います。
実際、きついです。

ただし、「何が」「どのくらい」きついのかは、あまり具体的に語られません。
今回は、私自身が土木施工管理をやっていて本当に辛いと感じた点を、できるだけリアルに紹介します。

土木施工管理をやってて辛いこと

①悪条件での肉体労働(3Kのリアル)

土木工事は建築工事と違い、基本的に屋外作業です。
夏は灼熱、冬は極寒。雨が降れば、泥だらけの地面で雨合羽を着て作業します。

「現場監督は指示するだけで動かない」というイメージを持たれがちですが、
実際はそんなことはありません。

  • 測量・墨出し
  • 細部の確認・点検
  • 職人さんの手伝い(大手ゼネコンでも普通にあります)
  • 機材や資材の段取り

とにかく動き回る仕事です。

夏や雨の日は、
「雨で濡れないように着ているはずの雨合羽の中が、汗でびしょびしょ」
という謎現象が頻発します。そのため作業着は2着持ちが基本になります。

この環境に慣れていない人、特に部活動などで屋外の過酷な環境を経験していない人にとっては、かなりの苦痛だと思います。
SNSでエアコンの効いたオフィスで働く人を見る機会が多い現代では、精神的なギャップも大きいです。

 工種別に3K(きつい・汚い・危険)を感じる場面を紹介すると、

造成工事(建物を建てるために山や不安定な土地を整地してきれいにする工事)の場合〉

更地で休憩するところが何もないなか、数キロの距離を往復しながら1日中測量をすることが日常業務(きつい)

であり、地面が土のため、砂埃や泥で汚れます(汚い)

また、バックホウやダンプトラックなどの大きい重機が動き回っているため、轢かれて死ぬ可能性も全然あります(危険)

上下水道工事(シールド工法や推進工法で地中を円筒上に掘削していってその通り道に上下水が流れる管路を作る工事。掘削設備は地下に下す・反力を使う・地上に引き上げる必要があるため、発進立坑・到達立坑と呼ばれるスタートとゴールの2つの立坑が必要。)の場合〉

数m~数十mの開削や立坑を掘ってその一番下で工事をするため、上り下りするための足場を何往復もしなければならず、一番下から上がってきたらもうヘトヘトみたいなことが起きます(きつい)

それに加えて下水道工事であれば、小便大便汚水が流れていて臭いし汚れます(汚い)

また、高所から落下したり、地上からクレーンで重機や資材を下す際にそれが落下して自分に当たれば余裕で死にますし、特定箇所で有毒ガス(下水から発生する硫化水素・メタン・アンモニアや、建設機械の一酸化炭素・二酸化炭素など)が出ています(危険)

土工事・法面工事(山の斜面を安定させたり、山の起伏を無くして道路や構造物を作る工事)の場合

山の中で工事延長が長い場合が多く、起伏が激しい中を長い距離移動する必要があります(きつい)

また、造成工事のように砂埃、泥で汚れる場面があり、虫もたくさんいます(汚い)

急斜面での作業のため、滑って転がり落ちたり、土砂崩れや落石でおおごとになる可能性もあります。(危険)

 以上のようにどんな工種においても3Kを感じる時があり、決して楽な仕事ではないと思います。

②責任の重さによる精神的苦痛

 肉体のきつさに加えて、精神的なきつさもあります。臭いや汚れについてはすぐに慣れるため、実質2Kみたいなもんですが、この2K(きつい、危険)に関する不安がかなり苦痛です。

 施工管理は工事の段取りをすべて行う必要があり、現場で発生する問題はすべて施工管理(元請、受注者)の責任になります。

 コンクリート打設日前日の不安、一日の工事時間の制限があり(街中だとよくある)、時間通りに終わるかの不安、自分や部下が行った測量があっているかどうかの不安、段取りが確実に行われているかどうかの不安、大雨などの自然災害により第三者に被害が及んでいないか、現場が崩壊していないかの不安、当初予定の利益よりも少なくなりそう赤字になりそうという予算の不安、工事に必要な書類があるかどうか、関係各所に提出したかどうかの不安、職人が事故を起こすかもしれないという不安など、例を挙げればキリがないくらいの不安が付きまといます。

 これらの不安も平常時であれば耐えられるという人でも、一日中動きまわって、睡眠も十分にとれていない中だと心が折れてしまいます。

 また、一般的なパワハラは普通にあり、工事現場は音がうるさいため、小さい声では聞こえづらいことと、体育会系が多いことから、若手のころは叱られるというより怒鳴られることが多くあります。これもきつい要因の一つでしょう。私も若手のころ怒鳴られることが多くありました。ですが、少しずつ責任を負う立場になり、怒鳴る上司の気持ちがなんとなくわかるようになってきました。(だからといって、パワハラが許されるわけではありませんが)

 残業時間の問題もあり、他業界の場合、大手であればあるほど残業が少なくホワイトですが、建設業の場合は大手ゼネコンのほうが工事規模が大きく、複雑であるため、ブラックなことが多いです。そのため、過労死や自殺する方も大手ゼネコンが多いです。

それでも施工管理をやる人がいるのはなぜ?

 それでも施工管理をやる人がいるのは、以下の要因があります。

  • 給料が高いから(私の周りではこれがほとんど)
  • 辞めるとほかの人に迷惑がかかるから(そのため、がんばりすぎて病んだり、過労死する人が多い)
  • いまさら辞めてほかの仕事に行く気力もないから
  • 実際にモノができた達成感があるから
  • デスクワークが多いのは嫌だ(もともと動くのが好きな人が多い、動くことになれると動かないことがきつく感じる)
  • つぶしが効くから

 同期や先輩に話を聞くと、基本的にいつでも辞めたいけど、給料日の時に「やっぱり続けるかぁ」てなって続けるみたいな人が多いです。笑

 私が続ける理由としては、給料が多いことと、0から構造物が出来上がるのを見るのが楽しいこと、図面や工事を細部まで勉強することによって、公務員、建設コンサルタント、インフラ系などの同業界他業種に行きたい場合も貴重な人材として転職できることがあげられます。

 給料が高い点については、基本的な給与が比較的高いことに加えて、宿舎や寮に格安(1万円弱)または無料で住めることが多く、可処分所得が圧倒的に多いことが魅力です。

 建設コンサルタントやインフラ・メーカーの場合、転勤が少ない代わりに何年目までしか家賃補助が出ないという場合が多いため、僻地への転勤に抵抗がなく体力に自信がある方はゼネコンがおすすめです。

 また給料について、私の同期数名(26歳、院卒2年目、大卒4年目あたり)から実際に聞いた話だと、

  • スーパーゼネコン・準大手ゼネコン(従業員3000人~1万人規模) 年収650~750万円
  • 中堅ゼネコン(従業員1000~3000人規模) 年収550~650万円
  • 地場ゼネコン(従業員~1000人規模) 年収400~550万円

 残業(10~40時間くらい)を含めこれくらいの分布です。これにプラスで家賃等の固定費が格安な場合が多いので、お金はかなり溜まります。

↓ゼネコン規模別の詳しい年収比較を知りたい方はこちら

【有料級】施工管理で入るならどのゼネコン?規模別に年収比較してみた

 同業界他業種に行きたい場合も転職しやすい点について、建設業は公共事業の場合、設計施工分離の原則から、建設コンサルタントは計画・設計を担当し、ゼネコン・建設会社は施工を担当するといったように1つの工事でも別の会社が設計と施工を行うことが基本であり、建設コンサルタントは施工知識に乏しく、ゼネコン・建設会社は計画・設計知識に乏しい構造になりやすいです。そのため、施工前段階や施工中に「施工性が考慮されていない!」、「図面がおかしい!」となり、図面修正に時間を費やすことはよくあります。こういった問題を解決するために、コンサル側では施工管理経験者を、ゼネコン側ではコンサル経験者を一定数いれて、設計と施工の橋渡しを円滑にする風潮が大手になるほどあるため、施工管理をやりながら計画設計についての知識を自己学習することでコンサルへの転職は可能です。また、鉄道や電力などのインフラ関係でも、特定分野について一貫して理解しているトンネル・地盤・構造物などのエキスパート人材(特に技術士保有者)を欲しがる傾向にあるため、そちらへの転職も可能です。知識・経験・資格があれば、40歳くらいでも公務員や発注者支援への転職も可能です。

建築・設備・専門系(サブコン)によって辛さが違う

 土木の施工管理についての話をしてきましたが、建築・設備・専門系(サブコン)によってきつさの種類が変わってくるため、同じ施工管理でも内容をしっかり確認することが大事です。

①建築・設備の場合

 建築・設備は土木と比べて民間からの受注が多いため、「1年後には絶対完成してほしいけど、問題が発生した場合の追加の契約金は渡さない」みたいなことが普通に起きます。

 土木の場合

  • 図面の不備→設計変更と、それに伴う契約金増額
  • 大規模な自然災害による工程の遅れ→工期延長
  • 物価上昇→物価スライドによる契約金増額

 を発注者が対応してくれますが、

 建築・設備の場合は、

  • 図面不備→受注者責任(受注者が図面を精査できていなかったせいと判断される)
  • 大規模な自然災害による工程の遅れ→オープン日が決まっているから工期延長できない
  • 物価上昇→それも見込んで当初の契約金で決定したため、増額はできない。

 と悲しい対応をされます。

 そのため、建築・設備工事は工程の遅れが起きても大丈夫なように、また、早く工事を終わらせて利益を確保するために土曜日も出勤することが多く、土木に比べてブラックになりやすいです。

 さらに設備の場合は、施工の順番が土木→建築→設備という流れになりやすく、工期がタイトで、土木・建築の尻拭い的ポジションになりやすいため、かなり注意が必要です。

 また、建築の下請けで設備施工管理一括受注だと、建築の所長に値切られる可能性があり、その折衝もかなり大変だと思います。

 ちなみにピアノ配信系YouTuberのゆゆうたさんはもともと設備の施工管理でめちゃくちゃブラックだったそうです。

 じゃあ、建築と設備は土木よりもメリットがないのか、というとそんなこともなく

  • 工期が比較的短く(建築は1~2年で終わる場合が多いが、土木はトンネル・ダム施工で8年かかるとかザラにある。)、施工のサイクルを早く経験・理解できる。
  • 住宅・オフィス・商業施設などの人目に付きやすいものを作るため達成感・やりがいが大きい。
  • 不動産・デベロッパー・建設コンサルタントへの転職・横展開がしやすい。
  • 家の良し悪しがわかるため、持ち家・賃貸の検討を深く行える。
  • 土木のような僻地での工事はほぼない。

 などのメリットもあるため、自分のキャリプランによって変えることをお勧めします。

②専門系(サブコン)の場合

 専門系(サブコン)の場合、基本的に1次下請けとして専門工種のみ担当するため、数か月単位で現場が変わります。また、専門性が高いため競合が少なく、比較的安定しているイメージが強いです。

 しかし、サブコンは予算と担当工種の工期の関係上、ゼネコンのように現場の近くに事務所を構えてそこで事務作業をすることはあまりできないです。そのため、8:00~17:00まで現場で働いて、1時間かけて会社に戻り、20時あたりまで残業みたいなことは普通と聞いたことがあります。

施工管理は「あり」か?

 私の考えとしては、きついことも多いですが、施工管理は全然ありだと思います。

 施工管理を行うことで、調整力・交渉力・コミュ力・論理的思考能力・体力・行動力・臨機応変力が身に付くため、仮に転職した場合でも、施工管理で活躍できていればほかの仕事は余裕でこなせると思います。

 文系職のホワイトカラーはAIにどんどん置き換わっていて、リストラが普通にある時代です。そのため、文系でも専門性や手に職をつけるために施工管理への選択は良い選択だと思います。

 高学歴の方で、スキルアップや起業・独立のためにコンサル・外資系金融・難関企業に就職したはいいけど、その先のプランがまだ確立してないみたいな場合は、その次に施工管理を経験することで、現場がわかってる建設業の経営コンサルタントとして起業・独立したり、会社内部の経営分析として働くみたいな選択肢も面白いと思います。