就職する会社を決める際に、年収や会社規模、ネームバリューで決める人は多いと思います。後悔を減らし、自分らしく生きるため、また、市場価値を高めるために、人生設計→分野選択→会社選択の順番をおすすめします。

 今回はその理由について解説していきたいと思います。

人生設計を先に決めよう

施工管理として働く場合

 土木分野は、選ぶ分野によって働く場所や生活スタイルに大きな差が出るため、分野選択は慎重に行う必要があります。

 鉄道、補修、維持管理、耐震補強、上下水道等の分野は、人が多く利用する構造物や都市インフラを優先的に整備・更新する性質上、比較的都市部や人口集中地域での業務が多くなります。

 一方で、山岳トンネルや、ダム等の大規模土木構造物分野は、地理的条件に左右されやすく(都会だと広い土地がない)、人口の少ない地域での施工が多いです。また、1件あたりの事業規模・契約金額が大きいため、同一地域で継続的に案件が発生しにくく、結果として全国各地への転勤・長期出張が発生しやすいという特徴があります。

 実際、私の会社でもトンネル専門の人は全国各地に転勤しています。また、ダムの場合は工期が異常に長いため、山奥で8年間同じ現場で過ごすなんてこともあり得ます。

新卒入社後、8年の現場を1つ経験した30歳

新卒入社後、2年の現場を4つ経験した30歳

では、キャリアがかなり異なり、今後の転職や人生にも影響します。(しかし、ダム・山岳トンネルはみんなやりたがならないので、工事数は少ないのに需要は高い。)

海外で働く場合

 また、海外と日本でも施工管理のやり方が異なるため、どの国で働くのかという要素も重要になります。

 

2024年度海外建設受注は、1,662件、2兆5,808億円となり、前年度に比し、件数は191件減少したが、金額は2,879億円増加した。

本邦法人の受注は、2,794億円増加し、6,917億円に、現地法人の受注は、84億円増加し、1兆8,891億円となった。

地域別に見ると、アジアは、1兆4,264億円、中東・北アフリカは、190億円、アフリカは、225億円、北米は、9,161億円、中南米は、401億円、欧州は、46億円、東欧は、951億円および大洋州は、569億円となった。

〈引用〉一般社団法人海外建設協会_海外建設受注実績レポート_海外受注実績の動向

 以上のことを踏まえて、海外建設受注を金額順に並べると

1位:アジア 1兆4,264億円

2位:北米  9,161億円

3位:東欧  951億円

という結果になり、このことから海外で働くということは、アジアや北米がメインであることも考慮しなければなりません。

このような背景から、土木分野を選ぶ前に、

  • 将来どこで生活したいのか
  • 家庭やパートナーとの生活を重視するのか
  • 仕事を最優先し、大規模プロジェクトに関わりたいのか
  • とにかくお金を稼ぎたいのか
  • 海外で働きたいのか(海外工事はODA案件がメインになり、土木は途上国の仕事が多いです。)

といった人生設計を先に考えることが重要になってきます。

建設コンサルタントとして働く場合

 施工管理と建設コンサルタントのどちらで働くか迷っている方も多くいると思います。

基本的にはどちらも分野選択が人生に大きな影響を与えるため慎重な判断が必要です。

建設コンサルタントを考えている方はこちらの記事(建設業界「勘違い進路」あるある集)がおすすめです。

専門分野を極めるべき理由

高度な専門技術者は需要が大きい

 人生設計を決めて、専門分野も決めたら、その専門分野を極めましょう。

 理由は、専門分野を極めることで代替不可能な人材になり、需要が大きくなることで年収が上がり、働く場所も選びやすくなるためです。

 土木構造物は、動くお金が大きいため、計画・施工段階での判断(どの工法が効率的であるか、どの施工会社を使うべきか、問題が発生した時に何をすべきか、施工順序が予算・安全・工程を考えて適切であるか等の判断)によって数千万~数億円の利益の差が出てきます。また、品質が低いと施工後の劣化が早まることで追加費用が発生したり、最悪の場合、人命にかかわってきます。しかし、そのような適切な判断ができる人材に育成していくには、会社側はかなりの時間と費用が必要であるため、高度な知識と経験を持った技術者は即戦力であり、高年収での中途採用があります。

 また、大手の建設コンサルタントでも、施工管理からの転職者を歓迎している場合もあるため、分野は手広くやりすぎるよりも1つ専門分野を軸にしたほうが良いと思います。

 これは、多くの分野を手広くこなせる多能工的存在が不要だという意味ではありません。
しかし、最終的な判断や責任を負う場面では、特定分野に深い知見を持つ専門技術者の存在が不可欠です。

専門分野を変える場合

 会社の都合や人生設計の変更で、分野や職種を変更することもあると思いますが、その場合でも、一度身につけた専門分野の知識や経験が無駄になることはあまりないです。


 なぜなら土木構造物は、地盤・構造・水・施工条件などを複合的に捉える必要があり、他分野に移っても基礎的な考え方や判断力は生かされる場面が多いからです。

 ただし、分野によっては直接的な関連性が低く、経験を生かしにくいケース(河川・砂防 → 鉄道、山岳トンネル → 上下水道など)も存在するため、最初に選ぶ専門分野は慎重に検討すべきです。また、ゼネコン各社には得意分野があるため、会社選びも重要な要素になります。

まとめ

 どの会社にすればいいかは、

人生設計を考える

人生設計に即した専門分野を決める(派生できる分野も考慮)

決めた専門分野に強い会社に決める

 このような流れで、決めるとスムーズに会社を決めることができると思います。